FX自動売買ができるMT4(メタトレーダー4)のEA(エキスパートアドバイザー)では、EAに設定されているパラメーターの値を最もパフォーマンスが良くなるように調整する最適化という作業があります。MT4のEAを最大限に活用するには、最適化により相場の動きに合った最適なパラメーターを設定することが効果的です。最適化には過剰最適化という注意点もあり、注意しておこなわないと大きく失敗することもありますので、以下に詳細を説明します。
MT4のEAでの自動売買では、ボラティリティーやトレンドが通貨ペアや時期によって大きく異なり、その大きな変動を考慮してもプラスになるよう設定を調整するのが最適化のポイントです。また、短期の移動平均線と長期の移動平均線がクロスしたところで売買するという手法のEAで、2つの移動平均線に与えられた2つの期間の値を変更して最もパフォーマンスの良くなる設定を探し出すのが最適化です。
MT4のEAのパラメーター最適化は、パソコン上でMT4を立ち上げ、以下の流れで実行できます。ストラテジーテスターの中の最適化のボックスのチェックマークを入れ、右部の「エキスパート設定」をクリック。「パラメーターの入力」タブの中で最適化するパラメーターにチェックを入れ、スタート、ステップ、ストップの値を入力します。例えばスタートが10、ステップが5、ストップが20の場合、そのパラメーターは10、15、20の変化し、それぞれの値におけるバックテストを実施して結果を比較します。「最適化」タブを選択し、制限の項目にチェックを入れ値を入力すると、この設定以下のパフォーマンスとなった場合にそのパラメーターの組み合わせのテストを終了させられ、最適化の速度が高まります。「テスト設定」タブでは、最適化パラメーターを「Balance、Profit Factor、Expected Payoff、Maximal Drawdown、Drawdown Percent、Custom」の中から選択します。遺伝的アルゴリズムを使う場合はここでチェックを入れ、最適化の速度を高めるのに役立ちます。これらの設定を終えたらストラテジーテスターのトップで右下の「スタート」をクリックすると最適化が始まります。
最適化のテストが終了した後は、「最適化結果」というタブをクリックすると結果を確認でき、右クリックして「レポートの保存」を選択するとHTML形式で保存することもできます。最適化の結果確認で注意する必要があるのは、最も良いパフォーマンスのパラメーターを選択することは必ずしも良いとは限らない点です。パラメーターの最適化には「過剰最適化(カーブフィッティング)」という問題が発生する可能性があります。過剰最適化されている状態とは、過去のある相場だけに合わせ込んだパラメーターで、未来の相場では同様には通用しない状態であり、実際フォワードテストをおこなうと結果が出ないということになります。重要なのは、結果を見た際、そのパラメーターの組み合わせがたまたま過去の相場に合っていただけなのか、パフォーマンスが良かった理由が説明できるかを見極めることです。背景を考え、パフォーマンスが良かった理由が説明できるようであれば未来の相場にも通用すると期待できます。一方、特に説明が見当たらない場合は過剰最適化である可能性が高いでしょう。
過剰最適化(カーブフィッティング)にならない状態にするのは、簡単なことではありません。販売されているEAは、EA開発者が長い時間をかけすでに最適化しているのが通常であると言えます。プロのEA開発者であれば、テクニカル指標を複数組み合わせ売買ロジックを作成し最適化したEAを販売していますので、それ以上に最適化を狙うとかえって過剰になってしまうというのは否定できません。とはいっても、自分で最適化することで安定度がかなり増すということもありますので、最適化の方法は覚えておいて損はないでしょう。